ひらく、積ん読、かさねとく。

ただの読書録って言ったじゃない

【抜粋】「贈与論 他二篇」(2014)マルセル・モース,森山工訳 ①

p.37 ギフト、ギフト
ギフト(gift)の意味、「贈り物」と「毒」
給付の典型は飲み物の贈与
“贈与はもっぱら飲み物をみんなで一緒に飲むとか、酒宴を奢るとか、
お返しの酒宴を開くとかといったかたちでなされるわけだけれども、こうしたときほど、
贈り物が善意にもとづくのか悪意にもとづくのかの見きわめがつかなくなる場合はほかにないということ、これである。”

p.210
“贈り物というのは、のちにお返しがなされるであろうという確信をともなって人から人へと経巡る(へめぐる)ものである。
そのとき、その確信の「保証」となっているのは贈られるその物に備わった力能であり、
また、贈られる物それ自体がこの「保証」なのであった。
けれども、考えうるおよそいかなる社会においても、ある期間を置いたのちに果たすべき義務を人に課すというのは、
贈与というものの本来的な性質である。
(中略)訪問、婚姻や連盟関係、和平締結、遊戯、模擬合戦、お互いへの「敬意を表明し」合うとき。
お返しまでに一定の期間を置くという概念は、人々が交換し合うありとあらゆる物に、
それも、その社会が豊かになるに応じて、ますます多くの、そしてますます貴重なも物が交換されるようになる、
そうしたありとあらゆる物に倫理的に包含されているのだ。”