ひらく、積ん読、かさねとく。

ただの読書録って言ったじゃない

【メモ】「離脱・発言・忠誠」(2005),A.O. ハーシュマン,矢野修一 訳 ①

第一章 序論と学説的背景 
経済学における、とりかえしのつく過失(repairable lapses)の看過。需給の変化がない場合にも、極大化能力・エネルギーの喪失を原因とする業績低下があるが、企業の衰退や過失にも何らかの合理的理由があるものと解釈し、過失からの回復を考えず無関心でいる。 

・ 離脱オプション:顧客がある企業の製品の購入を止める、メンバーがある組織から離れる。

・ 発言オプション:企業の顧客や組織のメンバーが経営陣や権威筋、耳を傾ける人に対して、自らの不満を直接表明する。

 経済成長と技術進歩は、生存水準以上の余剰を生む。余剰によって人類は衰退を許容できている。マクロ経済的、永続的緊張経済という伝統モデルに対して、ミクロ経済スラック(slack ゆとり)という見方から経済的病弊を考える。 
不均衡状態の是正は、市場力(経済的メカニズム)か非市場力(政治的メカニズム)か、あるいは両者の共同作業なのか。非市場力が必ずしも市場力より非自動的ではないということ。